70年間生きてきて確信として思うことがある。それは「幸せな人生とは、人のために生きること」なのだと言うことだ。
幸せになるための絶対条件、必要条件、付帯条件を松下幸之助さんの「経営に成功する原則」に倣って言えば、
絶対条件は、まず「人のために生きようと思う」ことだ。そう思おうと思うことだ。
次に、必要条件は、自らのキャラクターや得意技を客観的に自覚すること、素直な心になって、自分自身を見つめることだ。ソクラテスの「汝自身を知れ」だ。自分に嘘を付かないことだ。
そして、付帯条件として、絶対条件や必要条件をフルに活かすことができる具体的ステージを見つけることだろう。
これらの3つの条件には順番がある。まずは絶対条件があって、次に必要条件があって、その上に付帯条件が加わることで「幸せな人生」を送る全条件が整うのだ。
「幸せ」とはお金でも地位でもない。
金沢から七尾線の特急「能登かがり火」に乗り七尾に行く。1時間強の旅だ。
私が生まれ育ったのが、羽咋と七尾に挟まれた現在の中能登町(旧鹿西町)だ。羽咋を過ぎて見慣れた町並みが目に飛び込んでくる。
私はここで育った。「仰げば尊し」の歌詞のように「身を立て名を上げ」たいと思って幼少期を過ごした。「末は博士か大臣か」と、出世街道を登り詰めて、「ふるさとに錦を飾る」ことを夢見ていた。
その当時の私からすれば、今の私は落ちこぼれの最たるものだろう。しかし、今、私は、負け惜しみではないが、そんな捻くれた心根で生きてはいない。
私しかできないことをやろうと思う。第一の人生で七転八倒しながらも培ってきた心身全ての財産を第二の人生でフルに活かすことにこの上ない喜びを感じて生きている。
こんな幸せな気持ちになることができたことを半世紀前の私は全く想像だにしないだろう。
「幸せ」とは何か?は、その人の価値観に左右される。たくさんの経験や学び、人との出逢いの中から、様々な価値観をアウフヘーベンして今の私の価値観が確立されている。
出逢った全ての人たちに感謝して、新たな第二の人生を生きていこうと思う。
まさに「ふるさとは遠きにありて思うもの」だ。
不動院重陽博愛居士
(俗名 小林 博重)