本棚に積んである本の中には、読もうと思って買ったのだが積んだままになっているものもある。
その理由は、ちょっと読んでみて思ったより面白くない、難しいと感じて読み切っていない本であったり、興味があって買ったのだが興味がなくなって積んだままになっていたりとさまざまだ。
今週はあまりバタバタと仕事が入っていなかったので、その積ん読してあった本を読んでみた。
『日本人という、うそ』〜武士道精神は日本を復活させるか〜山岸俊男著(ちくま文庫)
2015年第一刷発行だ。ネットで買ったものではない。丸善か三省堂か、本屋で買ったものだ。私は文庫本でもこの手の内容の本は新刊しか買わないから、きっと8年前に買ったのだろう。どんなところに興味があって買ったのか全く分からない。私が買うのは、題名が正統派のものが殆どだから、何で買ったのか。
兎に角、読んでみた。
示唆に富む指摘が多い。ストンと腹に落ちた。そして、私が今やろうとしていることはそういうことなんだと妙に納得した。
武士道精神と商人道精神
安心社会と信頼社会
これからの21世紀の日本の社会は、安心社会から信頼社会へ脱皮していかなければならない。それには武士道ではなく商人道を極めることだという。
すなわち「武士道精神が日本のモラルを破壊する」のだと。
【統治の論理=武士道】
*取引を避けよ
*勇敢であれ
*規律遵守
*伝統堅持
*位階尊重
*忠実たれ
*復讐せよ
*目的のためには欺け
*余暇を豊かに使え
*見栄を張れ
*気前よく施せ
*排他的であれ
*剛毅たれ
*運命甘受
*名誉を尊べ
統治の論理は、「権力者のモラル」だ。社会体制を維持するために権力者が守るべき道徳律であり、人々から権力者として畏敬・尊重されるためには、利益に惑わされず、公平無私の心を貫き、秩序や伝統を尊重する精神が必要であると。
【市場の論理=商人道】
*暴力を締め出せ
*自発的に合意せよ
*正直たれ
*他人や外国人とも気やすく協力せよ
*競争せよ
*契約尊重
*創意工夫の発揮
*新奇・発明を取り入れよ
*効率を高めよ
*快適と便利さの向上
*目的のために異説を唱えよ
*生産的目的に投資せよ
*勤勉なれ
*節倹たれ
*楽観せよ
市場の論理は、権力に頼ることなく、お互いに繁栄していくためにはどう行動していくのがいいのかと考えたときに生まれたモラルの体系であり、共存共栄のためにはお互いに嘘をつかず、信頼しあい、利益を分かち合う姿勢こそが必要であると。
私はOUEN Japan の応援哲学に【3S-Spirits】を掲げている。
1.サービス→社会貢献
2.サクリファイス→活私奉公
3.スタディ→人生修養
この2つ目が、全く意識はしていなかったが、武士道精神から商人道精神に替えた意味だったのだとはたと気がついた。
もともとサクリファイスとは自己犠牲と訳す。それは滅私奉公である。
私を滅して公に尽くすことが武士道だ。死んでしまえば何もできない。それでは身も蓋もない。
そうではない。私を活かし、人のために尽くすことだ。それを私は「活私奉公」と呼ぶことにした。それは商人道に通じる。
得が極まって徳になる。得(利益)をアウフヘーベンして徳(人徳)にまで高めることだ。
自分のために生きるということは「人のために尽くす」ということなのだ。
不動院重陽博愛居士
(俗名 小林 博重)