得手に帆上げて

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私は稲盛和夫さんを私淑する者の一人だ。一世代前の松下幸之助さんも同様だ。お二人は良き日本人の本質を追求され、それを哲学にまで極めた人徳の人だろう。 私のような凡人はその入り口にたどり着くのがやっとだが、その「経営哲学=人生哲学」を極めることで、カリスマ経営者としてその名は燦然と輝いている。

それに対して、ホンダの創業者である本田宗一郎さんは、日本人離れした発想で世界を相手にホンダを世界的企業に成長させた。
私の感性では、その型破りの天才の足元にたどり着きたいと思っても、それは全く次元の違う世界のような気がする。
しかし、学ぶべきところは多々ある。私が本田さんの著書「得手に帆あげて」を読んで、私の生まれ持った得手を高く掲げて生きていこうと思うに至ったことからして、本田宗一郎さんは私の目指す理想像でもある。

昨日、『夢を力に』(日経ビジネス文庫)を読んだ。2006年に日本経済新聞社編集委員の名和修さんが編著者である。

本田宗一郎
1906年静岡県生まれ。22歳で独立、浜松で自動車修理工として成功するが飽きたらず、エンジンやピストンリングの研究を始める。戦後、本田技術研究所を創業し、自転車に小型エンジンを載せた通称「バタバタ」を発売。1948年、本田技研工業(株)を創業し社長に就任。オートバイ「ドリーム号」「スーパーカブ号」などを次々に開発し、二輪車で世界のトップメーカーとなった。
その後、四輪車に進出、低公害のCVCCエンジンの開発などを成功させ、世界的自動車メーカーを築き上げた。73年、社長を退く。、91年8月、肝不全のため84歳で死去。

『夢を力に』の帯には「HONDAの原点がここにある。物まねは嫌い。ユーモアと純情」と書いてある。

第三部の本田宗一郎語録には、私が見習いたい箴言が山ほど書いてある。

「得手に帆を上げ」
“惚れて通えば千里も一里”という諺がある。
それくらい時間を超越し、自分の好きなものに打ち込めるようになったら、こんな楽しい人生はないんじゃないかな。
そうなるには、一人ひとりが、自分の得手不得手を包み隠さず、ハッキリ表明する。石は石でいいんですよ、ダイヤはダイヤでいいんです。 そして、監督者は部下の得意なものを早く掴んで、伸ばしてやる。適材適所へ配置してやる。
そうなりゃ、石もダイヤもみんなほんとうの宝になるよ。
企業という船にさ
宝である人間を乗せてさ
舵を取るもの
櫓を漕ぐもの
順風満帆
大海原を
和気藹々と
一つの目的に向かう
こんな愉快な航海はないと思うよ。

「まず自分のために働け」
私はいつも、会社のためにばかり働くな、ということを言っている。君達も、おそらく会社のために働いてやろう、などといった、殊勝な心がけで入社したのではないだろう。自分はこうなりたいという希望に燃えて入ってきたんだろうと思う。自分のために働くことが絶対条件だ。
一生懸命に働いていることが、同時に会社にプラスとなり、会社をよくする。会社だけよくなって、自分が犠牲になるなんて、そんな昔の軍隊のようなことを私は要求していない。
自分のために働くということ、これは自分に忠実である。利己主義だと思うかもしれないけど、そうではない。人間は人にもよく言われなければ自分が楽しくないという相対的な原理を持っている。 だから、他人に、あの人はいい人だ、と言われるのもエンジョイなんだよ。
我々はただ単に、自分だけよければいいと言うのではない。自分をよくするために人までよくしてやらなければ、自分というものがよくならないのだ、という原則があることを考えて自分をよくしなさいということを申し上げる。

「より人間的であってほしい」
私は、覚えるということより、どんどん進歩していくことを知り、人のやれないことをやりたくて仕方がないのです。もし分からなければ、若い人達に聞けば分かるんです。何で不得意なことをやらなきゃならないんですかね。 ただ、私がここで強調したいことは、誰にでも好かれて立派な人で、「相手が君だから教えてやろう」という気持ちにさせるような人間になっていただきたいということです。 それさえ持っていれば、何も学校を出なかったとかいうことは、大した問題じゃないですね。より人間的であってほしいですね。
私は自分が人間的だとは言いませんが、社長という職業をついこの間までやってきましたから、それがうまくつながってきて、私が聞けば直ぐ教えてくれて答が出るのです。自分が知っていればそれにこしたことはありませんが、聞いてこようが、カンニングしようが、私は同じなんだと思います。カンニングしちゃいかんというのは、コンピュータがなくて覚えなくちゃいけないという時代にはそうでした。今はカンニングしても平気です。むしろカンニングする相手が何人もいるのは素晴らしいことなんだと・・・・・・そういうふうに親が思ってくれれば、子どもだって気は楽だと思うのです。

なかなか、君子では言えない箴言ですね。

不動院重陽博愛居士
(俗名 小林 博重)

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