ポスト資本主義は?

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能登半島が私の生まれたふるさとだ。私は能登半島の入り口(口能登)で生まれた。今は平成の市町村合併で"中能登町"になっている。和倉温泉がある七尾市の隣町だ。

中学生まで、祖父母に育てられた。祖父は日露戦争に出兵し、露軍に奪われた軍旗を取り返した功績もあってか、金鵄勲章を受章したことが祖母の自慢だった。

祖父との思い出は、冬炬燵に入って日露戦争の話を聴くことと、2つの胡桃を擦り合わせてツルツルになるまで炬燵で磨いていたことだ。「玉磨かざれば光なし」が祖父の口癖だった。

祖父の日露戦争の話は「203高地での死闘」だったが、私は小学校にも上がらない頃だったこともあり、この惨劇はこの世のこととも思えないことだと聴き入っていたことを思い出す。

そして今、ロシアのウクライナ侵略を目の当たりにして、戦争の残虐性を我がことのように思ってしまう。

昨日、九州北部信用金庫協会の篠原専務からLINEで、元城南信用金庫理事長の吉原毅さんの昨年末の、ある会での講演録を送っていただいた。

題は「国際金融資本を討つ、日本の植民地化防げ」という大仰なものだが、協同組合の本質的役割を熱く語った講演だ。

講演録を読んで、思ったことは、農協、生協、信金等の地域の協同組合の目指す理想は、OUEN Japan=小林博重が目指すものとはほとんど同じではないかということだ。

吉原さんは小原鐵五郎さんのことを話されている。

小原さんと言えば「信用金庫のドン」と異名がある、それは私の時代の金融マンなら皆が知っている方だ。

小原さんは仰る。

「銀行家は、基本的に人の性は善なりという性善説のうえに立っていないといけない。また担保主義の考えでは企業を育てるという本来の使命を果たすことはできない。私はお客の為になるカネなら、担保が無くても信用貸しでどんどん貸しなさいと言っている」

「信用金庫はいままで富の偏在をなくし、中産階級を多くして金持ちや貧乏人のいない社会をつくることを一つのビジョンとして努力してきた。これは効率第一主義、すなわち儲け第一主義の大銀行にはできない。私たちはただ儲ければいいんだということでなく、世の中の貧乏人をなくすることを主眼とした仕事をしなければならない。要するに、信用金庫魂をもって、毅然としてやるということです」

「株式会社の銀行に成り下がるな。グローバル経済じゃだめ。それより国民経済。経済は国民のためにある。国民や地域を大事にしないとダメだ。中産階級を育成さることで貧富の格差を解消することが信用金庫の仕事だ。金持ちに奉仕するようなグローバル経済に騙されるな。信用組合や協同組合には公共的な使命がある。利益を目的とする組織ではないんだ」

信用金庫の哲学は「共存同栄」「相互扶助」だ。現実には信用金庫の役員にはその哲学を持っていない人が多かったと吉原さんは仰る。それもそのはず。皆、大手銀行に「右へ倣え」しているのだから。

OUEN Japan の3S-Spiritsは、サービスとサクリファイスとスタディだ。私はこれを、サービスを社会貢献、サクリファイスを活私奉公、スタディを人生修養と意訳している。これは信用金庫の哲学と同じではないか。

吉原さんは「社会貢献のために信用組合はあるのだ」と仰る。

19世紀の初め、英国ではロバート・オウエンが、利益一辺倒ではない、労働者が喜んで働く理想的な工場経営を実現していた。「新しい資本主義」だ。

協同組合は資本主義に抗して結成されたのだとか。

資本主義には「お金」の弊害が付いてくる。お金がなければ何もできないが、そのお金が人の心を汚す。「エゴイズムの結晶」になりかねない。今だけ、金だけ、自分だけ。「利己主義の塊」になる。

お金は人間の煩悩の象徴だ。人間には108の煩悩があるという。たくさんの煩悩があるということだ。その煩悩があって人間は進歩してきたことは確かだ。しかし、煩悩が一人歩きして、制御することかができなくなって、21世紀の資本主義は危機に遭遇しているのではないか。今起こっているロシアによるウクライナへの侵略もその一つだ。これはロシアだけ、プーチンだけのことではない。

煩悩(欲望、妄念)をコントロールすることだ。煩悩は決して消えてなくならない。毎日の反省で毎日煩悩をカットすることだ。それでも毎日煩悩は生えてくる。それでも毎日カットすることが絶対に必要な作業なのだ。

貨幣は、コミュニティの崩壊と自己中心主義の台頭を助長する。いわば貨幣は文明の宿痾なのだ。お金は目先しか考えない人間を増やす。今だけ、金だけ、自分だけ。市場原理主義を全部の領域に拡げたのが、小泉政権の「新自由主義」だ。そろそろこの幕を降ろす時代だろう。

では、新自由主義に代わるポスト資本主義は、協同組合主義に代表される人を大切にする「人本主義」だろう。

人間の幸せに尽くす。

日本の良さを保持し、将来に向けて世界と仲良くやって平和な暮らしを築く。

独立自尊で自分に誇りを持ち、人に平伏さない。

自分たちが経営し、自分たちが主体的に働く。

地域の社会貢献にも積極的に関わる。

話し合いにより意識を高め、地域のため、社会のため、国のためを考える。

働くとは?

暮らしを維持していくことだけが目的ではない。仕事を通じてより良い社会をつくり、皆を幸せにすること。世のため人のために尽くすことだ。自主自立、地産地消。

篠原専務は笑って仰る。

「人本主義の祖は英国のロバート・オウエンなら、日本はOUEN Japanの小林団長」だと煽ててくださる。私はそれにあやかって、そうなるように頑張っていこうと思う。

小林 博重

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