「100年人生を生きるコツ」/外山滋比古さんのお話⑹

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「100年人生を生きるコツ」
(11)生きがいは自活から生まれる
大切なのは、高齢者がある程度の生きがいをもてるようにすること。毎日面倒を見てもらって、平穏無事にご飯を食べているだけでは、生きがいも張り合いもないでしょう。 
明日は天気がよくなるといいな、次はこれをしたいな、という期待や希望が言えるような生き方をするには、やはりなにがしか自分で稼がなくては。できる範囲で自活をする必要があるのです。
そのためには、発想を変える必要があります。
たとえば朝の新聞配達の仕事などは、朝に強い年寄りがやればいい。働き盛りの年代が眠い目をこすりながらやるより向いているでしょう。不在宅への再配達に人手も時間もかかると問題になりましたが、重いものは別として、何回でも配達する仕組みをつくって手の空いている高齢者を組織すればいい。
問題は、高齢者が働くには仕事があるかということです。
年をとると力がどうしても落ちますから、力がなくてもできる仕事、機械にはできなくて、しかし時間をかければできるという高齢者向けの仕事を、大量につくる必要があります。
ある程度の経済的、社会的な効果のある仕事をすれば、仮に収入がわずかでも、満足感はあります。自分で働いて得たお金で生きているという実感が重要です。 
本来、働くことはかなりおもしろいことだと思います。ある種の成果や達成感があるし、自分ひとりだったら頭も使わず自堕落になってしまいますが、人と一緒に何かやるとなれば頭も使うし、いろいろ工夫もしていかなければいけません。楽しみも、生きがいも生まれます。
(12)不安は「力」なり
いま、日本の人口がどんどん減っているというのは、高齢者にとっては一つの恵みといえるでしょう。高齢化で経済力のない人が増えても、人口が減れば仕事はなくなりません。いまの日本は人手不足だから、仕事はいっぱいあります。
常識的な見方はやめて、発想を変えれば、いろいろな道が見えてくるのです。必要は発明の母、不安は力なりです。