危機を乗り越えるリーダーの条件

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政府は、4月7日に緊急事態宣言を発出し、東京をはじめとした7都府県を指定した。17日には全国都道府県に拡大した。その中でも、7都府県に加え、北海道をはじめとした6道府県を特定警戒都道府県に指定した。そして、安倍首相は、国民一人当たり10万円の給付金を支払う方針を固めた。また、港区の私の自宅と事務所にそれぞれマスク2枚が配送された。
遅ればせで、泥縄ながら、やっと安倍政権は、この緊急事態に対し重い腰を動かした。
5月GW明けまでに感染者拡大が収まり、下降線を示すことができるだろうか。国民の3週間の忍耐が試されている。
コロナは地球規模の危機だが、これを奇貨として『危機を乗り越える優れたリーダー』について考える。
平時と危機はリーダーの資質は違う。
平時のリーダーの役割は、組織のメンバーがそれぞれの得手を発揮する環境を整備をすること。そのステージを用意することだと思うが、危機の時は、組織のメンバーが「どうしたらいいか」と混乱の渦に巻き込まれているわけだから、平時とは違う、危機に遭遇した時のリーダーシップが必要だ。
コロナと闘い、そしてそれを奇貨として上昇気流に乗るために、リーダーはどうあるべきか?
これは国や自治体のみならず企業の大小を問わず、あらゆる組織に当てはまる。
小林 博重
「タナベマネジメントレター」から
『危機を乗り越えるリーダーの条件』とは
日本は、東日本大震災によりかつてない危機に直面し、リーダー不在を露呈した。企業においても、真のリーダー不在により組織の硬直化を招き、新たな事態が起こった時、環境変化に対応できない企業が多いのが実情ではないだろうか。
小さい組織であっても、リーダーが組織を目指すべき方向にまとめあげなくては、成果を出すのは難しい。リーダーとして組織をまとめていく上で極めて重要なポイントは、「決断する」ことと「目標に対して真摯に取り組む」ことである。
「決断する」には覚悟をしなければならない。決断して取り組んだことがうまくいかなかった場合、部下であれば理由を聞くことも必要であるが、リーダーは責任を取らなくてはならない。
不透明な現代において大切なのは「多くの人が共感できる決断ができるか」である。周りの意見を聞くことも重要になる。共感できる要素がなければ人はついてこない。どんな困難な状況であっても、「よし! やってみよう」と組織全体が思える決断をすることが大切になる。
組織をまとめていく上でもう一つの重要なポイントは、「目標に対して真摯に取り組む」である。リーダーは目指すべきことに対して大きな青写真を描き、なおかつ現場からものを見ることが必要である。
全体からものを見て発信をしていく視点、実際の現場で何が起こっているかを見る視点、この両方の感覚を持っていなければジャッジを誤り、チームのパワーを結集するのは難しい。
これらの視点を持ち信念がある人は、どんな困難な状況にあっても前向きに陣頭指揮をとり、現場レベルで周囲を鼓舞している。そして、志の高いリーダー同士が結びつくことでより大きなパワーを発揮していく。
大震災でも証明されたが、日本人の心のベースには助け合いの精神がある。リーダーの背中を見て共感し、行動する土壌がある。今後、真のリーダーを育成するには、意図的に修羅場を経験させ、自分自身で乗り越えさせることが求められるのではないだろうか。