第32項の徳目は「国際貢献」だが、講道館柔道の真価と題して嘉納治五郎を紹介している。
残念ながら日本人は、「武道」が日本の最大の輸出品目のひとつであるということを知りません。しかし世界の人々は、日本を肯定的に評価する見方のひとつに、日本の「武道」を通じた人間形成の文化を挙げているのです。
重要な点は、単に「スポーツ」を輸出したということではない点です。「武道」と名がついているように、その核になるのは「道」です。「武道」を通して、「日本の精神性=人の道」を広めたのです。 (中略)
「武道」は嘉納治五郎が、「日本人としての自覚」を持ち、世界に「貢献」すべく、強い意志と行動力によって成し遂げたものなのです。 (中略)
「柔道」の大きな特徴は、「術」ではなく「道」であることです。つまり、勝ち負けより、もっと大事なことがある。人の道を教えるのが柔道である。人を倒すための「術」ではなく、自分自身や他人を高めていく「道」というものを確立したのが、嘉納の打ち出した「柔道」でした。
嘉納は「自他共栄」という言葉をよく使いますが、自分と他人が共に栄えていくあり方こそが「柔道」の目指すところであると考えました。そのために人格形成を第一義に置き、武術を捉え直したわけです。さらに、この日本の「武道」の文化を自国に留めてしまうのではなく世界に広げようとしました。
OUEN Japan は、人格形成を第一義に置いて、「道」を追求し、人のことを思いやる「恕の心」を持ち「自他共栄=ウィンウィン」を目指す、そんな学生たちを育成するNPOでありたいと思う。
小林 博重