OUEN Japanのパートナー企業である(株)情報工場の【SERENDIP】は、いろいろな書籍の内容を3,000字程度でコンパクトにダイジェストするサービスだ。私にも送っていただいている。
1月31日に紹介された『「仕事ができる」とはどういうことか?』(楠木建/山口周著、宝島社)は、ストンと腹に落ちる内容だった。
いくつかの心に残るフレーズ
①本当に仕事ができる人には、スキル以上の何かがある。それは明確なエビデンスや成果、習得過程が目に見えにくいセンス、アート、直感だ。 ②「センス」とか「美意識」とか「直感」が右側にあるとすると、左側に「スキル」とか「サイエンス」とか「分析」の世界がある。 ③昨今では「役に立つ」ということが求められなくなってきている。「役に立つこと」から「意味があること」に価値の源泉がシフトしている。 ④「役に立つ」はスキルとサイエンスでなんとかなるけど「意味がある」はセンスとアートが必要になる。
⑤センスは「天賦の才」ではなく、試行錯誤の中で身につけるもの。実際に、センスは大いに事後的、後天的なもの。
⑥スキルのある人は掃いて捨てるほどいる。ゼロの状態からプラスをつくっていくというのが、その人のセンスに強くかかっている。
⑦平均点にお金を払う人はいない。例えば、中華料理のスキルを勉強してメニューを通り一遍作れるようになって、それでお客が来るかというとこない。少なくともファンはつかない。ファンがついて継続的に繁盛する店は突出した特徴、まさに「余人を以って代えがたい」特徴を持っている。
⑧本当にセンスがある人は、単にセンスがあるだけではなく、自分のセンスの「土俵」が分かっている人だ。これが自分の仕事なのか、そうじゃないのかという直感的な見極めが実に上手い。
⑨ビジネスは具体じゃないと意味がない。具体じゃないと指示できないし、結果は絶対に具体的だ。「要するにこういうことだよな」という抽象化が頭の中で起きて、そこで得られた論理を頭の中の引き出しに入れている。この引き出しがやたらに充実しているのがセンスのある人だ。得られた経験や知識を抽象化してパターンとして蓄積しているから個別具体の状況にそれを適用できる。
⑩スキルの世界では競争が起こり、劣者は退出するが、センスの世界では「これもあり、それもあり」と多様化していく。多くの人が各々のセンスを発揮して仕事をすれば、選択肢が増え、社会全体が豊かになるのではないか。そうした方向で社会貢献のできる人を「仕事ができる」と呼ぶべきなのだろう。
私は人と人、企業と企業を繋ぐことで生業をしているが「この人は仕事ができる。一をいえば十を理解する人だ」と思う人と、偏差値は高いのだろうが、どうもビジネスはできない人だと思う人がいる。それはセンスがあるか否か、アートを解しているか否か、なのだろう。 そして、一番のセンスは「人の心を解することができる人か否か」なのではないか。
リベラルアーツの重要性を痛感する。
小林 博重