照ノ富士は大関まで務めた実力ある力士だったが、怪我と病気で休場が続き、序二段まで陥落した。しかし、腐ることなく努力精進して、先場所は幕下で7勝全勝で優勝して、来年の初場所では、10場所ぶりに十両に復帰した。 アスリートは実力があっても怪我や病気でその地位を守ることができない。当に「無事これ名馬」が当てはまる厳しい世界だ。
照ノ富士はそれを克服した。年齢は27歳でまだまだ大関復活は不可能ではない。ネバーネバーネバーギブアップで鍛えられた精神力で元の地位に駆け上がってほしいと思う。
人間はどん底を経験しても、腐らずに素直な心で努力精進すれば、人間ができ、成長するものだ。
自分自身も私なりにどん底に落ち「もう自分の人生はこれまでか」と精神の力がなくなってしまったときを経験した。
しかし、コツコツコツコツ、このままでは死なないと思い、稲盛哲学を一から勉強し直して、少しずつ薄皮が剥がれてきた。自分自身の得手を改めて見直し、それに磨きを掛けることで自信がつき、さらに上を目指すことができた。
人間は何をするために生まれてきたのか。その目的を果たすことが生きることだ。そのための過程が人間を作る。魂が磨かれる。そのベースはやはり「素直な心」だ。松下幸之助さんも一番大切なことは「素直」だと仰っている。
偉いとか偉くないとか、それは地位でもお金でもない。生きる姿勢だ。人のために生きる、世のために尽くすことだ。それを基準に全てを判断することだ。
16歳の若者の生き方に感動する。ずっと歳下の人であっても魂年齢が高い人のアドバイスを聞くことだ。地位の高い人は、それは頑張って生きてきた証左ではあるが、それは人を評価する一つのアイテムでしかない。その人がどのような生き方をしようとしているか、その生き方が人間の評価ではないか。私はそのように考えるようになって、どんな人にも同じ対応ができるようになったと思う。 だから、私の人脈は幅広く拡がっていくのだと思う。
残り53年の人生だが、これからも心を磨く努力精進を重ねていきたいと思う。
小林 博重