OUEN Japanは、学生の応援団だが、ある人から「OUEN Japanは、弱い立場の人たちを応援するNPOとして広く活動していくべきではないか」とのアドバイスを受けた。
私に何ができるか、私の人生はあと何年あるのだろう、その残りの人生で想いを完結したいとも考える。しかし「人生は有限であり、想いは必ず未完で終わるもの」であるがゆえに、想いのバトンを後世の人に繋いでいくことで、人は永遠に生きていくことができるものでもあろう。だとしたら、今の想いを少しづつアウフヘーベンすること、そしてそれを少しづつ形にしていくことが私の務めではないかと思うようになった。
21世紀はダイバーシティの時代だ。
男女や人種、障碍者差別等、弱い立場の人たちが活躍できる社会でありたいものだ。地方創生にしても、都会に日が当たり地方は日陰になっている差別の克服とも考えられる。
OUEN Japanは、その差別克服の一助になりたいものだ。
そんなことを考えていたおり、国連本部でのグレタ・トゥーンベリさん(16)の「地球温暖化問題」に関する実に迫力ある演説に心を揺さぶられた。
インターネットで彼女について書かれていた記事を読んで、さもありなんと実感した。私も「アスペルガーもどき」と言われることがある。彼女とは比較すべくもないが、想いを貫く迫力には大いに賛辞を送りたいし、私も彼女の爪の垢でも煎じて飲みたいものだ。
OUEN Japanもそのような理想を貫いていくNPOでありたいと思う。
小林 博重
彼女が動かしているのは、温暖化問題への人々の関心や行動だけではない。その強い意思と行動力は、「障がいとは何なのか」という問いを全世界に投げかけている。グレタさんは、その地球温暖化対策を訴える行動が評価され、2018年3月にはノーベル平和賞にノミネートもされた。
彼女の呼びかけはシンプルだ。
「地球温暖化が私たちの生存を脅かす重大な問題ならば、どうして私たちは行動しないのでしょう」
BBCによると、始まりはスウェーデンで総選挙が迫っていた2018年8月。グレタさんは、「気候のためのスクールストライキ」というプラカードを掲げて、ストックホルムの国会議事堂の前で座り込んだ。それは、ストライキは総選挙までの2週間、毎日続いた。その後も、彼女は毎週金曜日には学校を休んで、座り込みを続けている。
彼女の行動はまたたく間に世界中に広がり、地球温暖化対策を求める大規模な抗議運動へと発展した。「#FridayForFuture 」というハッシュタグと共に、欧米を中心に多くの若者が運動に参加し、その様子をSNSで発信している。グレタさんは12月には、ポーランドで開かれた会議COP24(通称:国連気候会議)、2019年1月にはダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)で演説した。
グレタさんは、アスペルガー症候群と強迫性障害、選択的無言症であることを公表している。アスペルガー症候群とは、知的障害を伴わない自閉症のこと。東京都自閉症協会によると、対人コミュニケーションが苦手、興味の対象が限定的、などが主な症状だという。
しかし、グレタさんは言う。
「アスペルガーは病気ではなく、1つの才能。アスペルガーでなかったら、こうして立ち上がることはなかったでしょう。アスペルガーだからこそ、人とは違った視点で世界が見れるのです。もし私がアスペルガーでなかったら、そんな風に世界を『外側から』見れなかったでしょう。私のようなアスペルガーの人間にとっては、ほとんど全てのことが白黒どちらかなのです。私たちは嘘をつくのがあまり上手ではありません。私にとって地球温暖化は白か黒かの問題です。生き残りの問題となればグレーな部分はありません」
正直すぎることもアスペルガー症候群の特徴の1つだ。
これは、コミュニケーションにおいては「空気が読めない」という欠点になるが、「社会のルールや常識にとらわれず、思ったことをはっきり言える」という利点にもなり得る。グレタさんの「温暖化はこれほど深刻な問題なのに、なぜ私たちは行動を起こさないの」というまっすぐな問いかけは、「正直で」「白黒つけないと気が済まない」というアスペルガー症候群の彼女の個性からきているのかもしれない。
一方で、グレタさんは障がい者としての生きづらさも語っている。
「アスペルガーなどの自閉症であることは、学校や職場、そしていじめとの終わりなき闘いです。それでも、正しい環境下で、正しく適応すれば、自閉症であることはスーパーパワーとなり得るのです」とも。
実は著名人にも、発達障害を公表している人は多い。世界的な映画監督スティーブン・スピルバーグは失読症を、経済評論家の勝間和代さんや女優の黒柳徹子さんも、ADHD(注意欠陥・多動症)であることを公表している。障がいは、「ネガティブ」ではない。むしろ、「世界を動かすほどのパワーをも秘めている」、そんな事実をグレタさん自身が証明している。
「アスペルガーは才能」
「アスペルガーであることは私の誇りです」
彼女の存在によって、世界の「障がい」の受け止め方がひとつ変わるかもしれない。