石原慎太郎さんが「人間の真の幸福」について書いている。
人はそれぞれが個性を持って生まれてくる。
天から与えられたその個性を遺憾なく発揮することこそが幸福なのだ。
また、人間の命は有限であればこそ、人は与えられた生の期間を燃えていかなければならないのだと。
人間の真の幸福とは、人間がそれぞれ個人として、持って生まれた天性・特性を生かしきった充足感である。
決して他になぞらえることのできない自らの非凡さを、仕事の上で、人生の中で立証することのできた充足感こそが真の幸せである。
生あるものは必ず滅するのだという存在の公理をわきまえていればこそ、実は、懸命に生きるという姿勢の甲斐もある。
人間の生命の、宇宙の全存在全時間に比べての儚さを知ってかかれば、逆に、その限りのある人生を、短く儚いが故にかけがえのないものとして、思い切って生きる意欲が湧いてくるはずである。
自分を生かしきるということこそが自分をこの世に与えてくれたものへの報恩であり、自分を核として過去と未来に繋がる先祖・子孫のために役立つこと、つまり供養である。
人生という劇場の、決して短くはない最後の幕をたっぷり味わっていくためには、正面きって自分の人生に向かい合い、こちらから仕掛けていけば、こんなに遣り甲斐・生甲斐のある、人生の時は他にあるものではない。
悔いのない生を全うしたいものだ。
小林 博重