ライフネット生命会長の出口治明さんは日本生命のエリートサラリーマンだったが、中途退職して60歳で起業した異色の実業家です。当代随一の読書名人だとか。稲盛和夫さんもいつも枕元に幾つかの哲学書を置いて就寝前に必ず書物に目を通し1日の反省をされるとか。お二人とも偉大な実業家にして哲学者でもあります。
それを思うとき哲学なき経営は決してホンマモノの経営ではないと思います。政治評論家は決して偉大な政治家になることができないように、経済評論家も偉大な経営者になることができないと思います。
(1)現場に飛び込み、今何が問題なのかを体に沁みこませること
(2)「人は何のために生きるのか、働くとはどういうことか」を追究し、確固とした人生哲学・経営哲学を確立すること
(3)哲学確立のために、自らが経験できないことを書物から貪欲に吸収すること
「働き方の教科書」(出口治明著/新潮文庫)は、哲学を現場に落とした、分かりやすい“人生と仕事とお金の基本”が書かれています。経営者に限らず、ビジネスマンにも身近な事柄を題材にした、スーと頭に入ってくる好著です。
稲盛さんや出口さんと比べることができない私ですが、稲盛さんを父として、出口さんを兄として、その足元に近づくように切磋琢磨して人格の陶冶を極めたいと思います。
小林 博重