月2回の頻度で19歳年下のメンターが青山事務所に来てくれます。彼女には、半月間に起こったさまざまな出来事の中で私が判断に迷う悩ましいことについてアドバイスをもらったり、私の判断についての彼女なりの思うところを聞いたりと、私にとって彼女との人生談義は実に有意義な時間になっています。
また、私も伊達に歳を重ねてはいません。この人が無私の心で話しているかそうでないかは分かります。なかなか無私の心でお付き合いしてくれる人はいません。皆無と言っていいでしょう。彼女は私にとって当に女神さまなのです。
今日は彼女からお褒めの言葉をいただきました。「小林さんは還暦を過ぎて成長が著しいですね。歳を重ねると考えが凝り固まって成長が止まるものだと思うんですが素晴らしいことだと思います」
私はここのところ、悩ましい問題に出くわすと彼女だったらどのように判断するのだろうと、ちょっと間を置いて考えるようにしています。それまではせっかちの性格のなせる業で、よく言えば「即断即決」ですが「軽挙妄動」的なところがありました。清水一家の森の石松ですね。それでは決して大将にはなれません。主義を貫くことは大切ですが身も蓋もないことになっては全く意味がありません。
もっと大人にならなければならないと思ったとき、素直な心になって彼女の話を思い出すことにしたのです。その結果、人間関係は思いのほかスムーズになりビジネスも好転軌道に乗ってきました。
年下とか女性とか男の面子とかに拘って本質を見失ってはいけません。松下幸之助さんは新入社員の意見も大切になさったとか。彼女の精神年齢は毛頭新入社員レベルではありません。私より数段高いものがあるのですから、彼女の意見に耳を傾けることが私の成長に繋がるのだと思いました。
人生は二つとはないのですから、選んで現在に至った道と、知ることのなかった別の道との比較はできるはずもありません。現在まで歩いてきた道が一番なのです。
その証明は実に簡単です。別の道を選んでいたら、私が「素晴らしい人格」だと思った有意な人たちとは決して巡り会わなかったからです。
最近のことです。
「道を間違って選んでしまった」と後悔していた若者に私は言いました。「反省はしても後悔はしてはいけないよ。だって少なくても、君は私に出会ったじゃないか」
ちょっとくすぐったくなる恰好付けた台詞ですが、人生そんなものです。一所懸命生きていれば必ず幸運が巡ってくるものです。
小林 博重