曽野綾子さんのエッセイ『靖国で会う、ということ』(河出書房新社)のなかに、彼女独自の人生哲学・教育哲学が散りばめられています。
日本以外の国では、その人に対する尊敬はすべて強烈な個性の有る無しが基礎になっている。もちろんお金や権力のあるなしもその一つの尺度とはなり得るだろうが、日本では、最近全く若者に教えていない分野があることがわかった。つまり魂の高貴さということに関して教師も親も知らない上、当人も読書をしないから、損得勘定、自己愛などというもの以外に、人間を動かす情熱の存在やそれに対する畏敬の念というものがこの世にあるのだと考えたこともないのである。
本当の人道的支援というものは、生命も財産もさし出せることです、と言うと、そんな損なことをする人がこの世にいるのだろうかという顔をされることも多い。それほどはずかしげもなく功利的な日本人を他国人は何と思うか、やはり教えたほうがいい。
今までの教育は、要求することに主力を置いたものであった。しかしこれからは、与えられ、与えることの双方が、個人と社会の中で温かい潮流を作ることを望みたい。個人の発見と自立は、自然に自分の周囲にいる他者への献身や奉仕を可能にし、さらにはまだ会ったことのないもっと大勢の人々の幸福を願う公的な視野にまで広がる方向性を持つ。
OUEN Japan は、日本で学ぶ大学生や留学生が「世のため人のために尽くす人財」に成長することを支援するNPOです。その哲学は曽野綾子さんが述べている教育論そのものです。
OUEN Japan は、以下のような人財を育成していきたいと思うものです。
(1)強烈な個性を持つ
(2)「世のため人のために尽くす」という魂の高貴さを持つ
(3)損得勘定、利己心から「利他の心」に、精神を止揚(アウフヘーベン)する
(4)与えられ与えるという双方向的な温かい人間関係の潮流を自らが体感し血肉化することにより、個性を発見し自立して大人に成長する
(5)他者への献身と奉仕、幸福の希求が、社会的人間を育成する
小林 博重