渡部昇一さんが著書「人生の手引き書(扶桑社新書)」の中で幸田露伴の「幸福三説」について書かれています。
幸田露伴が言う「幸福三説」とは、惜福、分福、植福の3つの福です。
(1)惜福
惜福とは、一度巡っていた幸運をすべて使い切ってしまわないことです。
成功に溺れて羽目を外してしまったり、人さまのサポートがあって現在の地位や立場があるにも関わらず自分独りの力であると思い込み、人の気持ちを慮ることをしない。惜福とはすなわち「感謝と謙虚を忘れるな」ということです。
(2)分福
分福とは、自分に巡ってきた福を独り占めしないで周囲にも分け与えることです。皆さんのおかげで今の自分があると思えば分けた福の見返りは期待しないことです。福は天からの授かりものであり人々の間を巡るものです。自分に巡ってきた福を天の一角に返す気持ちを持つ心掛けが大切ということです。
(3)植福
植福とは、自分の生きている時代を超えた先を見て福を植えることです。
植えた木が大きくなる頃には自分は死んでいるが、その木は子孫や後世の人々の役に立つのです。
生きているうちにどれだけ3つの福を世の中に植えることができるか。
人間の器量が試される人生の後半戦です。
小林 博重