私が目指す組織のあり方

大学を卒業して安田信託銀行に入社しました。それはそれは、私の個性をそのまま(私が好き勝手にできたということですが)活かしてくれた、大企業には稀な会社であったと思いますが、21年間勤めて管理職のステージに立ったとき、会社の状況もあり、自由奔放に会社生活を送ることができないジレンマを感じることが多くなりました。あることが切っ掛けでそれまでの自分からは想像もしていなかった『転職』を行動に移しましたが、紆余曲折はあったものの、結果的に退職して新たな人生を歩いたことは私の想いとして結果オーライの選択だったと思っています。
一匹狼とか一本独鈷の人生とか言っていますが、私は大学では応援部に所属していたこともあり縦割りの温かい人情が底辺に流れている組織をこよなく愛しており、人との温かい繋がりを最も大切にしたい人間だと思っていますので、私独特の組織観のなかで生きていくことが、自分を活かすことでありそれが幸せな人生だと心底そのように思っています。
組織とは何か。昨今の安倍政権の支持率低落現象を見て、組織としての派閥や官僚機構のことを考えました。
チェスターバーナードが提唱している組織の3要素は、
1.共通の目的をもっていること(組織目的)
2.お互いに協力する意思をもっていること(貢献意欲)
3.円滑なコミュニケーションが取れること(情報共有)
これらの3つがそろってはじめて組織が成立するというのです。
OUEN Japan を設立した想いやミッション達成を考えるとき、決して私独りではミッション達成は困難です。それは私の能力の問題でもありますが、たとえ能力があったとしても一人ができることは、目的や目標が極めて高いところになる場合「人さまのお力をお借りする」という『組織』が不可欠になります。ここに『組織の存在意義や必要性』があるのです。
日本の戦後の復興は日本人の高い貢献意欲と単民族国家ゆえのコミュニケーションによるものです。日本人は3つの要素を満たすことが得意な人種だと思います。日本の官僚(大会社)組織は高度に機能的で効率的な組織である反面、画一的な考え方や組織内の空気による意思決定など、逆機能が働いてしまうことが多々あります。ダイバーシティが叫ばれている21世紀に於いて、多方面の意見を受け入れ組織を活性化することが不可欠にも関わらず、合理的な判断よりも義理人情を重視した意思決定を行ってしまうことがあります。安倍1強の政治は日本の優れた組織の悪い面が表面化したものではないかと思うのです。
そのように考えるとき、私が目指す組織は「縦の規律のなかに横の心を添える」「緩やかでありながらも強固に結びつく」「お互いが対等である」「大らかで牧歌的で自由闊達な」21世紀型組織を目指したいと思うのです。組織は温かく柔軟でなければその構成員である人間は幸せにはなれないのではないでしょうか。私はそのような組織のトップリーダーになるべく、福岡女子大学理事長の梶山さんからお話しいただいた『トップリーダー』を念頭に置き、学びを極め人間修養に努めていきたいと思います。
1.常にフリーハンドを持っていないと、改革・変革は難しい。背後に利害関係のある人や組織がいないこと。
2.正しいと信じることをすぐに行い、結果に対して責任を取る。
3.ビジョンを示し、目標を明らかにするとともに実現する具体策を示す。
4.決断したら即実行する習慣がないと、重大問題は先送りになる。
5.一旦決めたら腹を括ってやる。いくら状況を正確に判断しても、決断しないと意味がない。
6.首をかけて退路を断つ決意が必要。
7.知情意を込めて決断する。
8.組織の置かれている状況や立場を常に理解している。組織は集合体でなく組織体であることを理解していること。組織は人が作り、人は人を作る。
9.考え方、主張、行動が振れないこと。
10.多くの経験に基づき、よりよい決定と決断ができること。
11.組織の外部からの視点に基づき、自分の組織を客観的に判断・把握できること。
12.困難な状況になればなる程、トップリーダーシップやガバナンスを発揮できる人。
13.他人の意識の変化を持つのではなく、積極的に意識の変化を促す。
14.他の組織は改革・変革しているので、自分や組織が今のままで良いと考えることは退化があると認識できること。
15.しんがり(殿)の精神を身につけている人。
16.トップの理想(意識)が組織の目標より遥かに高いこと。トップの理想が組織の目標より低くなったとき、トップを退く。
小林博重