『老成』のすすめ

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先週の札幌出張のおりウォーキングの最中に本屋に立ち寄り新書本を何冊か買い求めました。その1冊が「人は、老いない」(島田裕巳著/朝日新書)です。
私は、会う人から、半分お世辞もあると思いますが、よく「歳には見えない」と言われます。札幌で20数年ぶりにあった2人の後輩には「ふた回りして当時よりも若くなりましたね」ととんでもないお世辞を言われました。それだけ昔は年寄りに見えたと言うことかもしれませんが「人は老いない」を地で行っていると自負しています。
しかし、還暦を過ぎて頻繁に身体の衰えを至るところに感じる現実があります。「人間はこうして衰え、最期を迎えるのだなぁ」と実感すること頻りです。
私はサラリーマンではないので定年はありませんし、定年後の第二の人生も考える必要はありません。その点でサラリーマンのような仕事に関する精神的な落ち込みはありません。
気持ちはサラリーマン時代よりも健全で若いと思っていますが、身体の衰えに如何に抗して「天から与えられたミッション」を果たすか、そのために如何にしてコストパフォーマンス高く有限な生命を生きるかを、昨今は少しの切実さを持って考えるのです。
誰にでも訪れる「老い」を、人生の残り、やり過ごさなければならないものと考えるのか、さらに先へ進めるチャンスとして考えるのか。
年齢を重ねてこそできることがあります。経験の積み重ねがその人の物の見方に深みを与えていき豊かな人間性を育むことができます。 これからの人生は「老後」ではなく、さらに一段も二段も高みにある『老成』を目指さなければならないと思っています。
曽野綾子さんが41歳のおり書かれた『戒老録』の目次は
「してもらうのは当然、と思わぬこと」
「愚痴を言って、いいことは一つもない」
「攻撃的であることをやめること」
「自分の生涯は劇的だ、と思うのをやめること」
「若い世代の将来には、ある程度、冷淡になること」
「友だちが死んでいっても、ケロリとしていること」
「政治的行動は、精神の硬化によるものだ」
「新しい機械を使うことを、絶えず積極的に覚えること」
「死ぬ日まで働けることは最高の幸福である」
「老年の一つの高級な仕事は、人々との和解である」
「徳のある年寄りになること」
当に『老成のすすめ』です。心したいものです。
小林 博重