子貢が政治の要諦を尋ねると、孔子は「まず第一に食を足し食生活の充実を図ってやること、次に兵を足し軍備を整えること、そして民の信頼を得ることだ」と答えた。子貢は「ではその三つのうち止むを得ずして一つを除くとしたらどれを除きますか」と再度尋ねた。孔子は言下に「軍備を捨てよ」と答えた。子貢は第三問を発して「その二つとも保持し得ない事態が到来した場合、どれを捨てますか」と迫った。孔子曰く「食を去らん。古よりみな死あり。民信なくば立たず」
つまり、食を過大視してはならぬ、道が信じられず道が廃れるようではお終いだと。
曰く、孔子は政治の要諦の順番は、①信頼、②経済、③軍備、だと述べています。ここのところの政府や自民党の驕りは目に余るものがあり、政治の最重要な要諦である『信頼』は地に落ちた感があります。
~祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を現す。驕れる人も久しからず。ただ春の世の夢の如し。猛き者も遂には滅びぬ。偏に風の前の塵に同じ~
私は安倍長期政権を否定するものではありませんが、やはり牽制機能が衰えると、殆どの人間は「驕り」が出てきて「謙虚」になることができないのだと改めて思いました。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」
「謙虚にして驕らず」
人間は偉くなればなるほど謙虚な姿勢で人と接することが大切であり、組織が成長・発展すればするほど、組織構成員の態度が丁重にならなければなりません。
松下幸之助さんや稲盛和夫さんは「素直」「謙虚」が経営の要諦と言われます。政治も経営も人生も「人の幸せ」を追求することが目的です。「熱意」「人徳」「優しさ」等々、すべてが「素直な心」「謙虚な姿勢」から滲み出ているものではないでしょうか。
政治の混迷を見るにつけ「反面教師」「他山の石」「人の振り見て我が振り直せ」です。
全ての事象から貪欲に学ぶことです。悪い事象であっても、それを切っ掛けにして明るい未来にしようと思うプラス思考を持つことです。
小林 博重