実業社会の大人

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5月16日に記した「実業社会の大人=理想のリーダー像」について、補足します。
福沢諭吉は、
1.思想の深遠なるは哲学者の如く
2.心術の高尚正直なるは元禄武士の如くにして
3.これに加うるに小俗吏の才をもってし
4.更にこれに加うるに土百姓の身体をもってして
初めて実業社会の大人たるべし
と述べています。
同様に、中国明代の思想家である呂新吾も「リーダーの資質」について著書『呻吟語』のなかで、
1.深沈厚重なるはこれ第一等の資質
2.磊落豪雄なるはこれ第二等の資質
3.聡明才弁なるはこれ第三等の資質
と述べています。
実業社会の大人の資質として必要とされる「土百姓の身体」とは、リーダーの資質以前の問題で、人間、健康が優れていなければ何事もなしえないということです。リーダーではなくとも人生を生きるには健康第一ということです。では、リーダーの資質とは何か。福沢諭吉も呂新吾も同様なことを述べているのです。
1.リーダーとして一番重要な資質とは、常に深く物事を考える重厚な性格が必要であり、それは生きる哲学を持っているということです。福沢諭吉はそれを「深遠なる哲学者」と言い、呂新吾は「深沈厚重」と言っています。
2.次に重要な資質として、福沢諭吉は「心術が高尚正直」と言っており、呂新吾は「磊落豪雄」と言っています。意味するところは少し違いますが、「心根が美しく、何事にも拘らない器量人であり、誰にも好まれる人徳ある人」と言うことでしょう。
3.第三の資質について、福沢諭吉は「小俗吏の才」と言い、呂新吾は「聡明才弁」と言っていますが、これは「才覚」「才能」「雄弁」「頭脳明晰」と言うことです。
この歳になると客観的に自分を見ることができるようになります。与えられたミッションを果たすためには残りの人生で何を磨くべきか。
私が考えるに、第三の資質を磨くことは、高齢者の一歩手前の私にとってコストパフォーマンスの観点からあまり高いものではありません。第三の資質は、その才覚・才能を持った信頼がおける人物をパートナーに持つことでカバーできると思っています。
私が磨くべきことは「如何に生きるか」「如何に働くか」を極めることであり、人間として正しい生き方を貫き通すこと。この二点だと思っています。
小林 博重