昨日、稲盛和夫さんの講演集(CD)で『人を導く』を拝聴しました。その中で、稲盛さんは、福沢諭吉先生の箴言(「実業社会の大人(たいじん)=理想のリーダー像」)について語っていらっしゃいます。
思想の深遠なるは哲学者の如く
心術の高尚正直なるは元禄武士の如くして
これに加うるに小俗吏の才をもってし
さらにこれに加うるに土百姓の身体をもってし
初めて実業社会の大人たるべし
何よりも『人を導くリーダー』たる者に大切なことは「人間とは何か」「如何に生きるか」「何を成すためにこの世に生を享けたのか」を生涯自らに問い続ける哲学を持たなければならないということでしょう。
それに続いて、心根は真っ直ぐで正直であること。人として恥ずかしくない生き方を貫くことです。
昨今の小役人のような「そつなく物事を進める才能」は生きていく上では必要不可欠であると思いますが、それは深い哲学と美しい心根があってこそ意味があるものであり、この2つなくしてリーダーの資格はないということです。
最後に、何事を成すにも頑健な身体がなければ想いは無に帰すということです。リーダーは絶えず自らの健康に留意し、天が与えてくださった「ミッション」を果たすべく精進努力を続けなければならないのです。
昨今の一連の政治家の不祥事やレベルの低い発言を耳にするとき、エリートとして日本を支えていかなければならない立場にある彼らは福沢諭吉先生のこの箴言をどう思って聞くのかと思わざるを得ません。
私は一介の市井の小市民ですが、この箴言を「自らの生き方の理想形」として邁進の日々を送りたいと思うものです。
小林 博重