今朝、『人間学のすすめ「恕」』(下村澄著。三冬社)を読みました。75頁の小冊子です。副題が「安岡正篤・孔子から学んだこと」です。ここに、安岡正篤翁が話された「六中観」が紹介されています。
死中、活有り
死ぬ気になって道を開こうと努力すれば、開けない道はない。
苦中、楽有り
苦しみの中に楽しみがあり、楽しみの中に苦しみがある。
忙中、閑有り
忙しいからこそ閑は存在する。
壺中、天有り
がさついた世俗間の中に生きていても、自分だけの世界を持ち、それを深めていく努力が必要だ。
意中、人有り
常に心の中に尊敬している人物を持ち、日々心の交流を行うことが大切だ。
腹中、書有り
自分の心の中に信念や哲学を持っている。
また、「分を心得る」と題して、私のビジネスの基本的考え方と同様な内容が書かれています。
「自分の分を心得る」とは、平たく言えば、「自分はこれだけのものでしかない」と、わきまえることです。ただし、限界を知り、あきらめることではありません。自分について限界を見定めているが、成し遂げたいことは、しっかりと保持し、そして、自分の限界の上に立って何かを成し遂げるにはどうすればよいか積極的に考えることを言います。
「一人でやれることはたかが知れている」と分を心得た上で、「だから頑張っても無理に決まっている」と消極的になるか、「自分のできないところは人に手伝ってもらえれば何とかできる」と積極的になるか、その分かれ道で結果は雲泥の差となります。ならば積極的に夢を追いかけるほうが、ずっと価値ある人生になるというものです。
夢を実現するためには「人選び」がその成否を決定するのです。多くの信頼できる人を得なければ夢は夢で終わってしまいます。極みない人間学の習得に努めたいと思います。
小林 博重