〜多くを与えられた人は、多くのことを期待される〜(ビルゲイツ)
2007年のハーバード大学卒業式の祝辞のなかのフレーズです。「仕事の基本」(戸塚隆将著)で、世界の一流36人の言葉として記されています。戸塚氏は下記のように述べています。
〜ゲイツ氏の個人財産を単純に分配したところで、世界の不平等が解消されるわけではありません。既得権者は富を保有し続け、貧困に苦しむ人々の暮らしが改善されることはないでしょう。それならば、事業家としてマイクロソフトを築き上げたゲイツ氏のリーダーシップと創造性を最大限に活用し、新たなアプローチで世界の不平等解消に取り組む方が、問題解決の可能性はぐっと高まるでしょう。〜
〜リーダーシップ教育を目的とするハーバード・ビジネス・スクールでは、リーダーには多くが「期待される」のだと教えこまれます。
なぜ「期待」と表現されるのでしょうか?仮に「多くを与えられた人は、多くの要求に応える義務がある」と言われたらどうでしょうか。この表現は命令の意味を持ち、聞き手の感情を逆なでします。人は命令されることを嫌うものです。
しかし「期待」という言葉が使われるとプライドがくすぐられ、その要求にどうにか応えようと、自然と背筋が伸びていくものです。「期待」という言葉は、強引に「義務」を課すことなく、結果的に人を動かしてしまう魔法の言葉と言えるかもしれません。〜
私が好きな言葉に「ほんとうの自由とは、自分がしたいことをして、するべき義務を果たすことである」というものがあります。
私には財産と言えるようなものはありません。しかし、私は「とても運がいい人」であり「多くを与えられた人」であると思い、この世に生まれてきたことに心から感謝しています。そして、その感謝のしるしとして「世のため人のために尽くす」義務があると思っています。
その思いは揺るぐものではありませんが、「義務」よりも「期待」のほうが、自らにとっても人を育てる観点からも、その拡がりは大きいような気がします。
多くを期待される人間は幸せです。その期待に応えて、多くの人に喜んでもらえる善いことをしていきたいと思います。
小林 博重