セブン&アイ・ホールディングス名誉会長の伊藤雅俊さんが、
『商いの道』(PHP研究所)のなかで、松下幸之助さんの経営哲学について、
「経営の心根は祈る気持」の題目で、下記の様に書かれています。
「少人数の人を使っている経営者は、自ら先頭に立って範をたれ、
『ああせい、こうせい』と命令すればおおかた成果をあげることができる。
しかし、百人、千人の規模になると、率先垂範して、『ああせい、こうせい』では具合が悪い。
心の根底において、『こうしてください、ああしてください』というような心持ちがなければいけない。
そうでないと全部の人によりよく働いてもらえなくなる。
そして、さらに一万人、二万人となると、『どうぞ頼みます、願います』という心持ち、
さらに、五万人、十万人になると、これはもう『手を合わせて拝む』という心根がなければ部下は動いてくれない」
というものです。
「ああせい、こうせい」から「こうしてください、ああしてください」、
さらに「どうぞ頼みます」、そして最終的には「手を合わせて拝む」と祈るような心根を持たなければ、
経営者としてうまくいかないと説く松下幸之助さんの言葉に、私ははっとさせられたのです。
会社が大きくなればなるほど、頭を垂れる謙虚さが必要なのだと。
Mapは、私一人の会社ですが、
Mapビジネスは、同じ志を持った仲間とともに、
独立した個人の集まりを、緩やかでありながらも強固に結びつく、
強い戦闘集団に変えていくことを目指しています。
それであれば、私は、率先垂範すると同時に、
共に働いてくださる人たちに対し、『手を合わせて拝む』心根を持たなければならないのです。
『お互いが対等である』をモットーにしていますが、
そのことと、『手を合わせて拝む』こととは、相矛盾することではなく、お互いを強めあう心根なのです。
小林 博重