「三つ子の魂百まで」
これは、3歳ごろまでに受けた教育によって形成された性質・性格は、100歳になっても根底は変わらない、という日本で古くから伝わる諺です。
私は、家庭の事情で父方の祖父母に育てられました。すなわち、祖父母が育ての親であり、「一般的な家族の祖父母」とは全く違う肉親の関係でした。
例えば、祖父は、私が中学生時代、受験勉強で部屋で勉強に勤しんでいるときは、夜中まで私の部屋で、2個の胡桃を磨いていました。そして、私には「ぼぅ(私の呼び名。坊や)、玉磨かざれば光なし、だぞ。この胡桃も磨き続ければ、眩しく光る宝物になる。ぼぅも、自分を磨いて、お国に尽くす立派な人間にならんといかん」と毎日、日露戦争での二百三高地での闘いや、ロシアに奪われた軍旗を取り戻し金鵄勲章を授かった話を、繰り返し話してくれました。
私は、そのためか、幼心に、「東大に入ってお国のために尽くす人間になる」と心に刷り込んでいたと思います。また、この胡桃は、私の何よりも大切な宝物です。
また、祖母は、「東大に入いらんでもいいんよ。そんなことよりも、嘘をつく人間になるな。人に後ろ指を指される人間になるな。貧しくても真っ直ぐな人生を歩くんだよ。」と、祖父とは違う観点から、私を教育してくれました。
私は、祖母の教えを素直に聴き、「立派な人間になろう」と心底から思ったことを思い出します。
現在、私は孫たちとは別々に暮らしていますが、私も祖父母と同じく、孫たちが「立派な人間」になってほしい、と思います。
彼らたちに、「君たちのおじいさんは、堂々たる立派な日本人だった。」と思ってもらえるよう、日々、精進していきたいと切望するものです。
小林 博重
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